[ S P E C I A L  C O N T E N T S ]

COBALT

堅牢、信頼、高貴。
美容現場で通用する最も強く、価値ある素材。

COBALT



Report 5  活用
活用

ヨーロッパの王侯貴族を魅了した陶磁器は、
元の時代の中国で完成された領域に達したといわれる。


海の様に深く鮮やかな青色を発色する「呉須」は、神秘的な存在であった。
呉須とは顔料のことで、精緻な絵付けを施すのに用いられる。
更に透明な釉薬をかけて焼き上げた「青花」は東方からもたらされ、
西欧では造りだすこのできない至高の芸術品とされていた。


この呉須には天然のコバルトが含有されていることが発見されたのは18世紀の事で、
以来コバルト鉱石から青色の顔料を化学的に合成する事が技術的に可能となり、
ヨーロッパにブルー&ホワイトの技法が広まっていった。


また、19世紀初頭には、
酸化コバルトと酸化アルミニウムを主成分とする絵の具「コバルトブルー」が誕生した。
このころには、コバルトは「青色」の代名詞的な存在となる。


ところが、コバルトが呈する色は、じつは「青」だけではなく、
青味がかった「コバルトグリーン」、黄金色に輝く「コバルトイエロー(オーレオリン)」など、
コバルトは組み合わせるものによって寒色系にも、
暖色系にも色を変える便利な顔料なのである。


乾燥剤として利用されている「シリカゲル」も、
我々の暮らしの中では身近なコバルト製品である。
最初、青色をしていたシリカゲルは水分を吸収するとピンク色に変色するが、
これは湿度を示す指示薬として塩化コバルトが添加されているため。
電子レンジなどで水分を飛ばすと、
再びあざやかな青色がよみがえる。


携帯電話、ノート・パソコンのリチウムイオン二次電池や、磁気回路にも利用され、
コバルトがなければ現代社会は到底ありえない。
さらにはビデオテープやCD、DVDの磁気記憶装置をつくるうえでも、
コバルトは必要不可欠な存在である。


コバルトを添加した合金は酸やアルカリによる腐食に強いため、
虫歯の治療や外科手術など、医療現場で活躍。
腐食耐性に加えて、高温に耐える頑強さを兼ね備えていることから、
切削工具や耐摩工具、ジェット機のエンジンのタービンなどにも活用されている。