[ S P E C I A L  C O N T E N T S ]

COBALT

堅牢、信頼、高貴。
美容現場で通用する最も強く、価値ある素材。

COBALT



Report 1  起源
起源

コバルトに元素記号が与えられたのは1735年のことであるが、
人とこの希少金属の出会いは有史上では古代エジプト時代にまでさかのぼる。


紀元前2000~3000年にも及ぶ遥か太古の時代、
古代エジプトやメソポタミアの人々はすでにこの不思議な金属を実生活に取り入れ、利用していた。


目の覚めるような鮮やかな青色を帯びた出土品は、
遺跡から採掘された他の出土品からは到底同じ時代の産物とは思えぬほど注目を集めるものであった。


コバルトを砂や石灰に添加してガラスを造ることで深い青色に発色させる方法を、
この古代エジプトやメソポタミアの人々はすでに知っていたのだ。
無論「コバルトブルー」という言葉は存在しない時代の話である。


同時代の王族に類する出土品の多くにもこのコバルトブルーが用いられていることから、
コバルトの生み出す深い青色は最も高貴で位の高さを顕示する色であったと主張する学説もある。
その証拠に、ツタンカーメン王の棺や黄金仮面にはこのコバルトブルーが塗色されている。
頭部全体の縞模様、前頭部のコブラ、眉、目そして体全体に塗色されたこのコバルトブルーは、
黄金の下地とあいまって非常に豪華絢爛であり荘厳である。


何世紀にもわたり、
陶器や磁器への発色材料として欠かすことのできない物質であったわけだが、
CO(Cobalt:コバルト)として一つの独立した元素記号が与えられたのは実は18世紀に突入してからであり、
人類との出会いから考えると比較的新しいと言ってよいだろう。


1735年、
スウェーデンのイェオリ・ブラント(Georg Brandt)により、
発見される。
科学者である彼は鉱石から初めて未知の物質「コバルト」の抽出に成功し、
その存在がようやく実証されたのである。


1802年、
フランスの科学者ルイ・テナール(Louis Jacques Thenard)により、
コバルトを成分とした無機顔料として開発がすすめられ世界に広く普及し、
現代人の多くがイメージする青色のベースカラーとなった。